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2020年度の担当科目


大学院

  世界経済(経済学部・上級世界経済と合併)T(Sセメスタ2単位、月W)

  欧米経済史U「欧州統合史」(総合文化研究科「欧州研究」プログラム・欧州統合史、および経済学部・上級西洋経済史Tと合併)(Sセメスタ、2単位、金V)

  近代欧米経済史「第一のグローバル経済の生成・展開と破綻」(総合文化研究科「欧州研究」プログラム・欧州研究特別研究Uと合併)(Aセメスタ、2単位、金U)

  エグゼクティブ・プログラム(S・A各2単位、木Y、大学院共通授業科目、学部学生も受講は可)

  現代ヨーロッパ経済史教育プログラム(CHEESE GRADUATE PROGRAMME

  東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大EMP)


学 部

  経済史U(S1 2単位、火U・金U)

  上級世界経済T(Sセメスタ、2単位、月W)

  現代西洋経済史T(A1、2単位、月V・木V)

  現代西洋経済史U(A2、2単位、月V・木V)

  学部演習「定常状態の可能性と資本主義の命運(Possibility of Stationary State and the Fortunes of Capitalisms)」(通年4単位、金X)



2019年度の担当科目

2018年度の担当科目

2017年度の担当科目

2016年度の担当科目

2015年度の担当科目

2014年度の担当科目

2013年度の担当科目

2012年度の担当科目

2011年度の担当科目

2009年度の担当科目

2008年度の担当科目

2007年度の担当科目

2006年度の担当科目

2005年度の担当科目

2004年度の担当科目




大学院

世界経済T(経済学部・上級世界経済T)(S、月W)

 「世界経済」とは太古の昔から存在していたわけではない。千年前はおろか、五百年前にも、世界経済は、現在のわたしたちが知っているような形では存在していなかった。つまり、それは歴史的な生成物である。そこで、世界経済の成り立ちをその起源から明らかにし、現代の制度的な枠組み、主要な政策、そこで活動する国際組織や企業について解説する。
シラバス




欧米経済史U「欧州統合史」(総合文化研究科・欧州統合史、経済学部・上級西洋経済史U)(S、金U)

 本講義は、この1世紀ほど(19世紀末〜21世紀初頭、すなわち現代)のヨーロッパにおける対立・摩擦と協調・統合の要因とその相互関係を分析し、アジアの状況と比較することにある。現代ヨーロッパ史のユニークな点は、それが激烈な対立を繰り返しながらも、長期的な趨勢としては確実に協調と統合の可能性を開拓してきたところにあり、第二次大戦後のヨーロッパ統合の進展過程やEUの現状に目を向ける際にも、摩擦、軋轢、齟齬、対立の側面を忘れることはできない。
 ヨーロッパが趨勢として協調と統合の方向に向かってきたことは否定できないが、本講義はその過程を、理性的な統合思想と「統合の父たち」に彩られた予定調和的な歴史としては描かず、19世紀以来の社会、経済、政治、学術等々さまざまな領域における共通経験の長い蓄積に注目し、対立と協調に作用した経済的条件、社会的条件、政治的条件、および、それら諸条件の相互関係に論及する。そうすることによって、密接な経済的相互依存関係は政治的対立を防止するとか、近代の国民国家や国益概念が衰退して統合が進展したなどの通俗的見解を批判的に検討するとともに、アジア統合の可能性を考える際に必要な論点を探ることもできるであろう。
 また、今年度は特に、ヨーロッパにおける通貨、財政、福祉社会の三面での危機と、BREXITなど一連のEU離脱ないしEU懐疑派の動きにも注目して、その原因と発生態様について歴史研究の知見を用いて考察することにする。
 授業計画
 T 導入・目的・方法
 U 相互依存的世界経済とその破綻
  1 相互依存的グローバル経済の展開 ―19世紀のヨーロッパと世界― 
  2 帝国主義・対立と相互依存 ―第一次大戦前のヨーロッパと世界― 
 V 二つの大戦と戦間期の経験
  1 破局と組織化の経験 ―第一次世界大戦― 
  2 「常態への復帰」か「戦時」の不可逆性か?
  3 世界経済の性格変化と大恐慌 ―協調の可能性と破綻― 
  4 再び組織化と破局 ―国際金融協調の実験― 
 W 戦後秩序の中でのEC/EUの形成と進化
  1 戦後構想と戦後
  2 ヨーロッパの再建・国際協調と冷戦
  3 ヨーロッパ共同体
  4 動揺と再編
  5 市場統合と通貨・金融面の調整
  6 福祉社会の危機と難民・移民問題
  7 財政・通貨危機と離脱・分裂問題
 X 結語と補論:統合史における軍事・兵器産業



欧米経済史文献・資料研究「文献の歴史、先行研究の歴史、史料の歴史」 (A、金U)

 経済史研究も、歴史研究の一つとして、文献に多く依存するという性格を有する。過去に観光された文献と、先行研究と、過去に書き記された史料が存在し、現在、利用可能である理由を考察することを通じて、経済史研究を可能ならしめ、またそれを制約している条件を解明するとともに、経済史研究の最前線をいかに拡張しうるのかに論及する。
純然たる文献学、史学史、史料論を展開することは主目的ではないので、参加者と相談のうえ、いくつかのテーマを定めて、複数の文献、先行研究の蓄積、史料について、経済史研究の具体的な歴史観と併せて考察し、歴史研究の物的な手段としての文献、先行研究、史料の意味を扱うことにする。
 とりあえずのテーマとして、文字記録を多く残した群(階層、性別、年齢、民族、運動の種類、企業の個性、および時代の相違等々)と文字記録を残さなかった群とを比較して、史料の賦存状況、文献での扱われ方と研究状況の相違を知るとともに、歴史研究上の双方の関係を明らかにし、その結果、ある時代・社会の歴史像にいかなる偏倚や歪曲が、意図せざるものも含めて、もたらされているかという問題群を例示しておく。たとえば、征服民族と(しばしば無文字の)被征服民族や、男性の労働運動と女性の労働運動、社会主義運動とナショナリズム・帝国主義の運動、哲学・法・宗教・経済と衣・食・住・性・生殖などは文字記録の賦存状況に大きな相違のある組み合わせである。



学 部


経済思想史(A2、月V・木V)

1.講義の概要・目的
 本講義は以下のような主題を設定する。すなわち、過去から現在[=いま]にいたるまでの経済思想の推移に注目して、現在、どのようにして現代[ほぼ20世紀に相当]が終わろうとしているのかを明らかにする。19世紀の経済思想が自由の正当化で特徴付けられるとするなら、20世紀のそれは概括するなら、自由を維持しながらも保護・介入・規制・誘導を正当化してきた。こうした現代の経済思想がなぜ、いま終焉を迎えようとしているのか、これが本講義の設定する究極の問いである(この終焉のあとにいかなる経済思想が支配的になるのかという将来予測の問題は、科学の業(わざ)ではなく、それ自体が価値判断を含む思想・宗教・運動・政策の、すなわち現在以降の人為に委ねられた問題なので、本講義では扱わないが、諸君は一個の人間として存分に考えるべきだと思う)。この問いに答えるためには、現代の経済思想が19世紀のそれとのいかなる対抗・緊張関係の中から生成したかを知らねばならず、19世紀に遡る必要があるが、この講義ではそれ以前の前近代と近世についても簡単に論及する。経済思想の選択肢は現代と19世紀の2種類に限定されてはいないことを知るには前近代や近世を見るのは有益だ し、専門科目1の経済史との対応関係も前近代から見ておく方が万全になるからである。
現代の終焉というテーマは、より具体的には少なくとも以下の二つに分けることができる。第1に、経済思想の歴史とは自由と保護の関係を調和させてきた過程だが、それはどのような変化を経て、なぜ現代の終焉(思想史的には、現代を正当化する思想の終焉)に到達しつつあるのか。第2に、そうした変化の背後に、いかなる人間観と哲学的立場の変化が作用しているのか。
 なお、本講義は、「経済思想史」と銘打った書物のように、過去の高名な経済学者や偉大な思想家・偉人・賢人の頭の中にあった経済思想を歴史的に明らかにすることを主たる眼目とはせず、むしろ、それぞれの時代・地域に生きた人びとの日々の生活=経済活動を方向付け、そこに影響を与え、また人びとの社会的行為や選択に表現された思想を主たる認識対象とする。それは、経済学者や思想家の思想と普通の人びとが日々実践してきた思想とが一致する保証はなく、現実の経済活動に反映し、表現されたのは後者であると想定するからである。ただし、学者や思想家の思想は彼らが書き残したものから比較的容易に再構成できるが、名もなき人びとの日々の思想は、再構成すること自体に大きな困難がともなうので、その点に関する方法的な工夫を伝授することも本講義の副次的な眼目である。
19世紀末から20世紀末までの欧米社会経済史を、諸国・地域間の対立・摩擦の側面と、経済統合に向かう側面とに注目しながら概観する。この講義では上の1世紀ほどの期間をいくつかの時期に区分して、各期の@世界システム(通貨・金融、資本移動、貿易・海運、人口移動、外交・軍事など)の特質、A各国・地域の内的条件(殊に労使関係、農業、失業・貧困問題)を概説したうえで、B国内問題が国際問題に、また国際問題が国内問題に転化する様相を明らかにして、Cそれらを解決・回避する方策がどのように模索されてきたかを論ずる。また、同時に、ヨーロッパ現代史・ヨーロッパ統合史に関する通説・俗説を批判的に検討して、謬説や嘘がどのように形成され流布するのかにも論及する。  おもにヨーロッパ諸地域を叙述対象とするが、世界システムや国際問題を扱うために、必要に応じてそれ以外にも論及する。19-20世紀において世界の人口と面積の大半を占めた植民地・第三世界だけでなく、殊に20世紀には、北米と日本はヨーロッパにとって無視できない外的要因である。
2.講義の構成
T 導 入 ―課題と方法― 
 U 前近代 ―保護の体系― 
  1 規範としての前近代
  2 伝統と富の規範
  3 市場の規範
 V 近世あるいは移行期 ―二重性と対立― 
  1 新しい取引形態と前近代的規範
  2 モラル・エコノミと絶対王政・重商主義
 W 近 代  ―自由の体系― 
  1 自由と自動調節的市場観の確立
  2 自由の個人的根拠  ―教育、「自助」、主知主義、「強く逞しい人間」― 
  3 性と年齢をめぐる介入
 X 近代から現代への転換  ―介入的自由主義の登場と定着― 
  1 介入的自由主義の諸現象
  2 介入的自由主義の人間観  ―「弱く劣った人間」― 
 Y 現 代 ―自由と保護― 
  1 介入の制度化と異端の規律化
  2 大衆操作技術と「豊かさ」
  3 もう一つの新自由主義(Neo Liberalism)の登場
 Z 結 語 ―現代の終焉―  





学部演習(通年、金X)

演習ガイダンス配付資料(2018年4月6日配布)

テーマ: 「グローバル経済を破壊した力 ―ナショナリズム、ポピュリズム、被害者意識―  」


授業の目標・概要:
 現在の日本、韓国、中国、台湾、米国の経済は非常に密接で切り離せない関係にあるが、他方でこれら諸国の間にはさまざまな問題がくすぶっているし、アメリカでは、他国との協調よりも「アメリカ第一」を唱える人物が大統領に就任して、既存の国際秩序に「挑戦」し続けている。ヨーロッパは第二次世界大戦後、世界の他地域が経験したことのない高度な統合状態を構築したが、いまは重層的な危機を迎えており、ヨーロッパの内側には被害者意識と猜疑心がみなぎっていて、それはEUの機能と存在を脅かしている。
 経済的な関係が緊密なら友好的な国際関係が築かれるとの、第二次世界大戦後の通り相場となっている信念は本当に正しいのだろうか。平和と国際分業はいかなる場合に壊れるのか。また、民主主義はいかなる場合に強靱で、賢明な選択をし、いかなる場合に脆弱で不適切な選択をするのか。今年度はこうした問題を考えてみたい。
 実は百年ほど前にも、当時の高度にグローバル化した国際経済に注目して、国益の対立、国境と関税・貿易障壁、ましてや戦争は過去の幻影に過ぎないと理想主義的な平和論を唱えた人物がいた。しかし、彼の考えはその数年後に第一次世界大戦が勃発したことによって簡単に覆されてしまった。19世紀後半から第一次世界大戦直前までの世界経済は、現在よりもはるかに緊密に結び付いた相互依存的な国際分業関係の中で持続的かつ円滑に発展していた。それが第一次世界大戦によって断ち切られてから、現在にいたるまで、同程度に緊密かつ円滑な国際分業関係を再構築することに成功していないのだが、では、こうした緊密な経済関係を破壊した第一次世界大戦はなぜ、また、いかにして発生したのだろうか。さらに、1930年代には第一次世界大戦の反省が色濃く残ってはいたが、ブロック化の道を進んだ各国は急速に対立へと傾斜して、第二次世界大戦に至っている。
 上述の問題を考える題材として、第一次世界大戦前の世界の相互依存的な経済システム(S.B.Saul, the multilateral trading system)が展開する中で、各国で戦争に帰結せざるをえない何が発生したのかを考察して、従来の第一次世界大戦原因論を批判的に吟味し、併せてブロック化と第二次世界大戦の原因論も考究する。国際分業の進展は必然的に衰退産業・衰退地域や失業の発生をもたらすが、繁栄の中の衰退という現象は特別な解釈を必要とし、その最も安易な解釈は、衰退を他国のせいにするナショナリズムの言説によって提供された。第一次大戦前の欧州各国の政治家は国内の矛盾や軋轢を回避するためにナショナリズムを安易に利用したのであるが、それがいかなる意図せざる効果をもったかを究明するのが、今年度の主たる関心事である。これと同様の事態は現在から将来にかけても世界の各地にも起こりうることであって、こうした危険のありかを見透し、それを回避するために、歴史を現在の武器とする思考方法を養ってもらいたい。
 なお、個人研究・卒論のテーマは各自の選択に委ねるので、必ずしも上のテーマに縛られる必要はない。
授業計画:
 導入部は講義で、第一次世界大戦前後の世界経済史を概観し、また第一次世界大戦の原因をめぐる通説を批判的に検討し、そこに含まれる問題点を確認する。その後、冬学期の中途までは共通文献を読みながら、今年度のテーマについて考察を進める。また今年度のテーマに関連した複数の課題について小報告をしてもらうので、調べ、まとめ、発表する技法を磨いてほしい。冬学期の残り(および9月の合宿)は個人研究の中間発表に当てる。
授業の方法:
 各自が個人研究をおもしろい卒論にまとめることを最終目標とし、そのために、口頭で発表することと、学問的な文章を書くことを繰り返し指導し、訓練する。
教科書:
 参加者と相談して決めるが、とりあえずの手がかりとしては、小野塚知二編著『第一次世界大戦開戦原因の再検討 ―国際分業と民衆心理― 』、加藤陽子『戦争まで』、J.ジョル『第一次世界大戦の起源』、ベッケール&クルマイヒ『仏独共同通史第一次世界大戦』、藤原辰史『カブラの冬 : 第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆』, Steiner & Neilson, Britain and the Origins of the First World War, 2003, Kennedy and nicholls, Nationalist and Racialist Movements in Britain and Germany before 1914, 1981, Hew Strachan, The First World War, Vol.1 To Arms, 2001, Hamilton & Herwig, The Origins of World War I, 2003, Norman Angell, The Great Illusion, 1909などを候補に考えている。
参考文献: 開講時に一括して指示するほか、必要に応じて適宜挙げる。

申込方法:
●申込書類:これまでに読んだ書物と履修した講義の中で印象に残っていること、関心の所在と研究してみたいテーマ、および、この演習を志望する理由の3点を2,000〜4,000字程度のエッセイ(A4横書き)にまとめ、学部所定の書類とともに提出されたい。
●選考方法:提出書類によるが、面接をすることもありうるので、提出書類に必ずメイル・アドレスを明記されたい。
●新規募集人員:10名
●平成31年度以降の開講予定の有無:開講予定。なお、4年次からの新規参加は妨げないが、その場合は書類提出に先だって個別に相談されたい。





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